特許、実用新案、商標、意匠から訴訟、調査、コンサルテーションまで

トピックス

アーカイブ | RSS |
国内特許情報 : 発明の新規性喪失の例外手続について
投稿者 : admin 投稿日時: 2012-09-11 19:42:46 (3981 ヒット)

 平成23年改正の特許法が本年4月から施行されました。多岐にわたる改正項目の一つとして、新規性喪失の例外規定(特許法第30条)の適用対象が拡大されました[1]。例えば、テレビで発表してしまっても救済されることとなったわけです。弊所では、早速こうした出願を扱う機会を得ることができ、特許庁が提供している「手引き」[2]や「Q&A集」[3]をもとに、新規性喪失の例外手続を行いました。

 手続書面の作成で特に紛らわしかったのが、「手引き」[2]の記載例を参照すると、テレビでの発表が生放送であった場合と録画放送であった場合とで、書き方が異なるようにも見える点です。実際には、生放送か録画放送かはあまり重要ではなく、むしろ、公開日や、公開者と権利者との関係がポイントになってきます。そうした点をクライアントにしっかり確認した上で、注意深く手続書面作成に取り組む必要があります。

この手続書面は出願人側の責任で作成・提出するものであり、実際上の疑義が表面化するのは無効審判や侵害訴訟の段階と思われます。その段階で疑義の解消に苦しむことのないよう、確実に対応しておきたいところです。

 今回の改正で例外適用対象が拡大されたことにより、テレビでの発表の他にもカタログ掲載や販売、試供品配布等、様々な公開態様が考えられます。上記「手引き」[2]や「Q&A集」[3]が随時アップデートされてさらに分かりやすくなっていくことを期待します。

 ところで、この新規性喪失の例外規定に似た制度が、欧州、米国、新興国等の諸外国にもありますが、似て非なるものなので注意が必要です。今回の改正で例外適用対象が拡大されたからといっても、外国出願を予定しているのであれば、やはり例外に頼らずに新規性を喪失する前に出願を済ませておくべきです。

 なお、米国におけるこの新規性喪失の例外規定に似たものとしてグレースピリオドの規定があり、これに関しては昨年9月に改正法(リーヒ・スミス米国発明法案)が成立し、来年3月16日以降の出願から適用されます。この新しいグレースピリオドの効果は強力で、発明開示後から出願までの間に他人が同一発明を開示してしまっていても、その出願は新規性違反にはならないのです[4]。日本の新規性喪失の例外規定では、偶然に同じ発明をした他人による発明開示に起因する新規性喪失までは救済されないので[4]、混同しないように気をつける必要があります。

 平成23年特許法改正のいくつもある改正項目の中で、新規性喪失の例外規定はあまり目立ちませんでしたが、上述したようにかなり奥が深い制度です。この制度の利用を検討されている方は、十分ご注意ください。

※参考資料
[1] 特許庁工業所有権制度改正審議室編、「平成23年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」第9章、(社)発明協会、2011年12月 
[2] 特許庁、「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、平成23年9月
[3] 特許庁、「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」、平成23年9月
[4] 日本貿易振興機構(ジェトロ)、ニューヨーク発知財ニュース、「特許改革法案(リーヒ・スミス米国発明法案)成立-オバマ大統領、法案に署名-」、2011年9月16日


印刷用ページ このニュースを友達に送る

このページのトップへ