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国内特許情報 : 拒絶査定不服審判前置審査解除後の全件審尋運用の縮小について
投稿者 : admin 投稿日時: 2014-07-31 17:06:55 (10954 ヒット)

 本年3月下旬、特許庁の新着情報に「前置報告を利用した審尋についてを更新しました」という施策情報[1]が、ひっそりとアナウンスされました。これによると、拒絶査定不服審判の前置審査解除後に審判部が原則全件に対して前置審尋を行うという、平成20年10月から続けられてきた運用が本年4月以降は改められ、全件審尋運用の対象が医療、バイオテクノロジー関係の技術分野のみに縮小されることとなりました。
 これまでの前置審尋では、前置審査の報告書の内容が提示され、ここに示された理由に対応する審判請求人の反論や、補正案、面接要請等を審尋回答書に記載して指定期間内に提出していました。今後は、審査前置解除通知が届いた時点で、特許電子図書館(IPDL)の審査書類情報照会や閲覧請求を利用して前置報告書の内容を確認し[2]、その内容に対する反論や補正案等の意見を提出したい場合は上申書により早めに意見を提出することが必要とされています[1][2]。また、面接の希望がある場合には、早めに審判官または審判書記官に電話等で面接の要請を行うこととされています[1][2]。

 弊所では、従来の前置審尋回答書を有効に活用して特許審決に至った事例をいくつも経験しておりますので、今後も前置報告書の内容に対して上申書により意見を提出することは有用と考え、クライアントの皆様には各事件毎に上申書提出が可能であることをご案内し、ご相談に応じて上申書案を作成しております。審査前置解除で拒絶審決に傾きつつある流れを戻すべく、今後もこのような対応を提案させて頂くつもりです。

 ところで、審判部はなぜこのタイミングで全件審尋運用を縮小したのでしょうか?これは単なる憶測に過ぎませんが、本年4月に成立し、5月に公布された改正特許法[3]の改正項目に含まれている特許異議申立制度に備えてのことではないかと思います。「平成26年度特許法等改正説明会テキスト」[4]によると、前身となる旧特許異議申立制度が10年ほど前に廃止されるまでは年間3,000件以上の申立があったとのことです。もし今回の新制度の下でもこれだけの申立件数に達するとなれば、これを審理する審判部に全件審尋に割く余力は見込めないのではないでしょうか?この憶測が当たっているならば、とても有用だった全件審尋運用を縮小しても仕方が無いことなのかもしれません。

[1] 特許庁「前置報告を利用した審尋について」, 2013.3.28(初版), 2014.5.28(改訂)
[2] 特許庁「前置審尋の運用の見直しに関するQ&A」, 2014.5.28
[3] 特許庁「特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)」, 2014.5.14
[4] 特許庁「平成26年度特許法等改正説明会テキスト」, 2014.5.28


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