「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」(いわゆる「シフト補正」)の審査基準改訂について

投稿日時 2013-08-14 00:13:52 | カテゴリ: 国内特許情報

 「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」(いわゆる「シフト補正」)の審査基準が改訂されました[1]。

1 「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂のポイントは以下のとおりです。
1.1「発明の単一性の要件」の審査基準について
 以下の(1)及び(2)の手順により、特許法第37条の要件以外の要件を審査する対象が決定されます。
 (1)特別な技術的特徴(STF)に基づく審査対象の決定
 (2)審査の効率性に基づく審査対象の決定

 (1)では、最初に発見されたSTFと同一の又は対応するSTFを有する発明が審査対象とされ、STF以外の構成が一致していなくても審査対象に含まれることになりました。
 (2)では、特許請求の範囲の最初に記載された発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明が原則審査対象とされることになりました。

1.2「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準について
 補正後の特許請求の範囲が補正前の特許請求の範囲に続けて記載されていたと仮定したときに、改訂後の「発明の単一性の要件」の審査基準によって審査対象となる補正後の発明については、特許法第17条の2第4項の要件が問われません。
 つまり、以下の(1),(2)の補正を行うことができます。
 (1)最初に発見されたSTFと同一の又は対応するSTFを有する発明への補正(以下、STFベースの補正)
 (2)補正前の請求項1(STF無)の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明への補正(以下、請求項1(STF無)ベースの補正)

2 今回の審査基準の改訂により、厳しかったシフト補正の審査は大きく緩和されましたが、次の点には注意が必要です。
2.1 今後増えることが予想される請求項1(STF無)ベースの補正を行う際、補正前の請求項1の発明が解決しようとする課題と、当該発明に対して追加された技術的特徴から把握される、発明が解決しようとする具体的な課題との関連性(以下、単に課題の関連性)が低いと判断されないことが必要です。また、補正前の請求項1の発明の技術的特徴と、当該発明に対して追加された技術的特徴との技術的関連性(以下、単に技術的関連性)が低いと判断されないことが必要です。

2.2 請求項1(STF無)ベースの補正を行う際に発明特定事項の一部を削除した場合には、原則、シフト補正に該当するため、注意が必要です。

2.3 第17条の2第4項の要件を満たす補正をしたとしても、補正後の請求項に係る発明同士が第37条違反となる場合がありえるので注意が必要です。

 このように、審査基準の改訂後も依然として補正には十分な注意が必要です。
 特に判断の難しい課題の関連性、技術的関連性については、特許庁審査基準室も「各技術分野ごとに事例を蓄積し、出願人・代理人と審査官とで相場観を作ることが必要」とコメントしています[2]。

 なお、改訂審査基準は、平成25年7月1日以降の審査に適用されます。平成25年7月1日より前の拒絶理由通知においてシフト補正に関する言及がなされた案件についても、平成25年7月1日以降に応答した場合には、改訂審査基準が適用されます。

 弊所では、今後も発明の単一性・シフト補正に関する実務上の事例を収集・研究し、お客様へ適切なアドバイスをタイムリーに提供していきます。
 
※参考資料
[1]特許庁、「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準の改訂について
[2]AIPPI・JAPANセミナー資料、「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準の改訂について、2013年7月29日




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